働くを楽しむwork-waku

年俸制で、残業代はありますか?

2018年02月12日

年俸制で残業代はありますか?

年俸制の場合でも、残業をすれば当然に残業代をもらうことができます。 年俸制を採用しているのに、残業代を支給しない会社の言い分としては、「年俸制で一年間の給与は決まっているから、別途残業代を支払う必要はない。」というものがあります。 しかし会社側は「年俸制だから」という理由で、残業代の支払いを拒否することは原則できないのです。

年俸制とは

ではこの「年俸制」。プロ野球選手の契約更改ニュースで聞くこともあると思いますが、一体どういう給与形態なのでしょうか。

年俸制とは、給与の金額を1年単位で決定する給与形態のことです。年齢や勤続年数により賃金がある程度決まっている年功序列制度と異なり、成果主義で評価される制度(成果主義賃金制度)です。個人の職務能力や勤務成績に応じて年間の給与を決定する能力給制度で、日本では管理職を中心に浸透しつつあります。定期昇給という概念はなく、前年度の働き具合に応じて、増俸、据え置き、減俸が決まります。

自分に与えられた業務の成果で評価される…、業務のプロセスよりも業績重視で報酬が決まります。つまり、自分の業務でどれだけの成果が出せたかによって翌年の給与が決まる制度なのです。

企業にとっては、社員に支払う人件費が明確になるため、経営計画を立てやすいという面がメリットになります。

年俸制と月給制の大きな違いは、事前に1年間に支払われる給与が確定しているかどうか。つまり、実際に働く前から「1年でいくら稼げるのか」が決まっているということです。

プロ野球選手の場合、シーズン中にケガをして試合に出られなくなってしまっても、年俸として提示された金額はきちんと支払われています。月給制と比較して、活躍を前提とした給与形態だといえるでしょう。

給与形態が年俸制の職種で働く場合、会社からの期待やモチベーションの管理などの観点から、より高い意識、成果が求められるといえるでしょう。そのためか、パート契約などでの年俸制というのは少なく、正社員の場合が多数を占めるようです。希望する仕事の給与形態が年俸制であった場合は、どのような活躍が求められているのかをきちんと確認しておくことが大事です。

年俸制給与は一括で払う?毎月払う? 賞与はあるの?

「年俸制」とはいっても、年度初めに年俸で提示された金額が一度に支払われる…ということではありません。労働基準法では、24条2項により、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められています。

そのため、年棒制でも総額を分割した額が毎月支払われることが多いです。また、年棒制では、1年間に支払われるべき年棒の支払い方法のパターンを選ぶ企業もあり、賞与は年棒に含まれるように規定している企業もあります。

年俸制での一般的な給与や賞与の支払い方法は以下の通りです。

  • (1)年俸額を12で割った金額を毎月支払う
  • (2)年俸額を16で割った金額(割り数は会社によって異なります)を毎月支払い、年2回賞与月に2か月分ずつの金額を賞与として支給する
  • (3)年棒とは別に業績に応じた賞与を別途支給する

月給制の場合、賞与の金額は会社の業績や個人の成績によって変動しますが、(3)以外の年俸制の場合は原則変動することはありません。

年棒制で、残業代は支払われますか?

年俸制では、年俸額以外の時間外割増賃金は支払われないと思われがちですが、年俸制であっても労基法上の割増賃金の規制(労基法37条)が外れるわけではありません。 そのため、年棒制を採用している企業では、割増賃金を固定額で支払うという形にしている企業もあります。年棒制だからといって残業代を支払わなくてもいいわけではないため、個々のケースで残業代を規定しているということです。

年棒制で残業代が支払われないケースをまとめると以下の通りです。

  • (1)裁量労働制が適用されている場合
  • (2)労基法上の管理監督者で、同法上の労働時間・休日・休憩の適用が除外される場合
  • (3)一定の残業時間を想定して年俸額が計算されている場合

年俸制は残業代が出ないと思われているのは、裁量労働制を適用している方や、管理職の方に多く適用されていることが理由です。

(3)の場合ですと、契約内容に「年俸にひと月あたり〇時間の時間外手当を含む」ということが明確にされているはずです。このように支払いの条件にきちんと組み込まれている場合は、提示された年俸に〇時間分の残業代が含まれているということになります(ただし、示された時間を超える場合は追加の支払いを受けることができます)。

上記以外の条件で残業代が出ない場合は、契約内容を今一度確認し、上司や人事担当者に相談することをおすすめします。

途中で退職した場合、返還する必要はある?

途中で退職した場合、返還する必要はある?

前述したとおり、けがをしたプロ野球選手が、年俸を減らされるというケースはまれです。戦力外通告を受けた場合は、収入が0になります。一般の企業で年俸制を採用している場合は、欠勤した場合なら賃金カットもありますし、中途退職した場合には退職以降の支給もありません。

退職後の月例給与については、確定年俸制だからといっても、労働契約が終了し、それ以降労働を提供していないものは特段の約定がない限り、退職労働者に賃金請求権はないと解されるからです。

以上が年俸制についての概略となりますが、メリットもあれば当然デメリットもあります。

年俸制のメリット

  • ・長期の計画が立てやすいこと。1年間で最低どれだけ自分の手元に給与が入るかが事前にわかるので、ローンなど長期的な計画などが立てやすいといえます。
  • ・仮に期待されている成果を残すことができなくても、1年間に支払われる給与は確定しています。

年俸制のデメリット

  • ・1年間で支払われる金額が確定しているということは、どれだけ活躍したとしてもその年の賞与に反映されません。給与に反映されるのが翌年になるため、評価がモチベーションになりづらいといえます。
  • ・成果を残すことができなかった場合は、翌年の年俸が減少する可能性も高くなります

年俸制に対しては、「残業代が出ない」とか「成果が出なければ翌年の年俸を大幅にダウンさせられても仕方がない」といったイメージが少なくないかもしれません。 しかし、会社で年俸制が適用されていても残業代の支払いなどに関しては、社員はしっかりと労働基準法で守られています。

本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。