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試用期間中に、試用期間の延長を会社から求められた。延長は可能ですか?

2018年02月20日

試用期間中に、試用期間の延長を会社から求められた。延長は可能ですか?

基本的には、特別な理由がない限り、会社が一方的に試用期間の延長をすることはできないとされています。試用期間の延長は、会社にとってはリスクを減らす行為となりますが、労働者にとってはリスクが増えてしまう行為だからです。

試用期間とは?

試用期間は、会社が人材を採用する際に、社員としての適性(勤務態度、能力、スキル)を評価判断するために用いられています。

期間の長さについては、労働基準法などで明確な定めはありませんが、1〜6カ月が一般的で、最長1年が限度と解釈されています。採用段階では新入社員の能力を十分に把握することは難しいので、この期間中に実際に働かせてみて、業務への適性を判断するというわけです。

試用期間が経過して、問題なく働けると会社から認められれば、本採用ということになりますが、残念ながら従業員として不適当ということになれば、雇用契約はそこで終了となります。

判例上、本採用を拒めるのは、試用中の勤務状態から判明した事実に照らし、その者を引き続き雇用しておくのが適当でないと判断することが「客観的に相当」である場合に限られています。

「客観的に相当」というハードルは相当に高いもので、よほどのことがない限り、本採用は拒否できないと考えてよいでしょう。

本採用になった場合、有給や厚生年金・雇用保険はどこから計算する?

本採用になった場合、有給や厚生年金・雇用保険とかはどこから計算する?

年次有給休暇取得の要件である「6ヵ月以上の継続勤務」の中には試用期間もカウントされます。つまり、試用期間を含んだ6ヵ月以上の継続勤務があり、かつ、全労働日の8割以上の出勤があれば有給休暇を取得することができるのです。

試用期間は一定期間の勤務状況などを観察することによって本採用とするかどうかを判断するための期間です。適格性がないと判断された場合、会社側は留保されていた解約権を行使することができますが、試用期間はあくまでも解約する権利が留保された「労働契約」であって、社員として勤務していることに変わりはありません。

そのため、試用期間終了後から6ヵ月の継続勤務のカウントを開始するのは、会社側の間違いです。

同様に、試用期間中だから社会保険がない……もちろん違法です。労働契約が締結されている状態ですから、一部の短時間労働者を除き、会社側は、各種社会保険(雇用、健康、労災、厚生年金)に加入させる義務があります。

多くの経営者の方が誤解されていて、試用期間中は社会保険へ加入させる必要が無いと思われているようですが、以下の加入条件を満たしていれば、入社時点から各種保険に加入していなければなりません。

雇用保険

1週間の労働時間が20時間以上で、かつ31日以上雇用の見込みがある場合。ただし、雇用期間を、例えば20日に定めても、契約を更新し雇用期間が31日を超えた場合には、雇用保険への加入が必要となります。

健康保険・厚生年金保険加入条件

法人、または、常時従業員が5人以上の個人事業所に雇われている場合は、基本的に被保険者となります。パートやアルバイトなどでも、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ会社の正社員の4分の3以上であれば、被保険者となります。

※この基準を満たさなくても、以下の(1)~(5)の条件を満たしている場合には、被保険者として扱われます

  • (1)通常労働者を常時500人以上超えて使用する事業所に使用されている。または、500人以下の場合でも労使の合意がある場合
  • (2)1週間の所定労働時間が20時間以上
  • (3)継続して1年以上使用されることが見込まれる
  • (4)賃金月額が88,000円(年収106万円)以上
  • (5)学生でないこと

労災保険

労災保険の適用事業所(基本的に労働者を使用していれば労災保険への加入は義務付けられています)で働き、賃金を支払われているすべての労働者が適用対象です。 正社員はもちろんのこと、アルバイト、パートタイマー、派遣労働者であっても労災保険の適用を受けます。

本採用にならなかった場合、どうなる?

本採用にならなかった場合、どうなる?

試用期間途中での突然の解雇通告

会社側は正当な理由がない限り簡単に解雇はできません。正当な理由として、過去に裁判で認められた解雇の具体例は以下のようなものです。

  • 出勤率が90%に満たない
  • 3回以上の無断欠勤
  • 勤務態度が悪く、何度指摘しても改善されない
  • 協調性を欠く言動・行動があり、社員として不適格
  • 経歴詐称があった

経歴詐称以外の理由は、雇った会社側にも、教育や指導をする義務がありますので、上記のような理由があったとしても、いきなり解雇することはできません。会社が十分に教育や指導を行ったかも重要なポイントとなります。

解雇通知に関しても、通常の解雇と同じく30日前に予告する、もしくはその代わりに、30日分以上の平均賃金を支払うことが義務付けられています。ただし、試用期間が始まって14日以内の解雇であれば、いずれの義務も果たさなくて良いという特例があります。

試用期間終了後に、本採用を拒否された

前述どおり、本採用拒否は、法的には労働契約の解約にあたり、解雇に該当するものとなるので、正当な理由が必要です。

もしも試用期間満了時に「今回の本採用は見送ります」と、あたかも会社側に選択権があるような言い方をされたら、法的には認められないということを知っておいてください。 これらのトラブルに遭遇してしまったら、行政庁や弁護士に相談することも考えられますが、現実問題としては、弁護士に相談する段階までいくと、訴訟から未払い賃金の支払いに至るまで相当な時間とコスト、精神的負担が掛かります。そうした労力を考えれば、早めに切り替えて、新しい勤務先を探すといった選択も良いかもしれません。

試用期間中に退職はできる?

試用期間中に会社側ではなく自分が、「働いてみたらイメージと違った」と感じる場合はどうすれば良いのでしょうか。

正式には労働基準法で、退職予定日の2週間前に申し出を行うことが定められています。退職の意思が固いようであれば、会社側もあなたの後任者が必要になるので、なるべく早めに、直属の上司に伝えるようにしましょう。

仕事内容を入社前にしっかり確認していても、入ってみると違和感を持つことがあるかもしれません。自分から周囲へ働きかけるなど、まずは状況を変える努力をしてみるのも大切かと思います。しかし、現実の仕事内容があまりにも想像と異なり解消も難しい、退職したい、という場合は、ストレート過ぎる理由は伝えず、その仕事をしている人たちを立てつつ、意思を伝えるほうがいいでしょう。

試用期間を延長すると、会社に言われたら

いったん「3か月」など決められた試用期間を延長するには、契約や就業規則などで、それが可能であることが定められている必要があります。入社の際には内容をしっかり確認しましょう。

また、そのような定めがあったとしても、延長には合理的な理由が必要であると述べた裁判例があります。たとえば無断欠勤や同僚とのトラブルが頻発するなど、深刻な問題があるならまだしも、「ミスが多い」という程度のことで試用期間が延長されるというのは、異常なことです。

労働法の知識のない経営者の中には、試用期間の間はいつでも解雇ができる、試用期間の延長も自由に会社が決定できると勘違いしている人がいますが、これも大きな間違いです。

日本の労働法はこのように、たとえ試用期間中でも、一度雇い入れられた人は「労働者」として手厚く保護されるようになっています。 安心して、仕事に邁進してください。

本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。