契約社員と正社員の違いは?
契約社員は、一般的に「雇用契約の期間を定めている社員」つまり「有期雇用契約」を結んでいる社員を指します。
正社員は雇用契約の期間に定めがなく、「退職届を提出する」か「定年になった」か「解雇を言い渡される」などによって雇用契約が終了します。
一方、契約社員の場合は、3ヶ月や1年など一定の期間を定めて雇用契約を結んでいるため、その期間が終了すると同時に雇用契約が終了します。
目次
正社員と比べた契約社員のメリット・デメリットは?
契約社員は、就業条件を選べる
契約社員と会社が雇用契約書で交わした内容は、その契約期間のみに限定されます。
契約更新のたびに都度、契約内容を見直すことが可能です。
一方、正社員は、会社の命令により転勤などの異動があり、正当な理由なく拒否することはできません。
この点で、契約社員は自由度が高いといえますが、意思がしっかりしていないと会社に振り回される結果ともなります。
契約社員には手当が支給されないことや、ボーナスに差があることも
正社員は、定年までの長期雇用を前提に、転勤や職務替えを拒否することはできませんが、その分、家族手当や住宅手当などを支給する会社もあります。
契約社員の場合、転勤や職務替えがない代わりに、これらの手当を受けられないことが多いです。
また、ボーナスについては、会社ごとのルールである就業規則の内容によります。
雇用形態の区別なくボーナス支給が規定されているのなら、契約社員でもボーナスがあることになります。
ただ、正社員の支給額と比べると、金額は低くなることが多いです。
有給休暇は正社員同様に付与
年次有給休暇は法律で定められており、入社から6ヶ月間継続勤務し、その期間の8割以上出勤していれば10日を取得することができます(以降、付与日数は1年ごと6年まで増加)。
正社員より勤務日数や勤務時間数が少ない契約社員であっても、労働日数に応じた日数が付与されます(比例付与)。
つまり、正社員と同じ時間・同じ日数を働く契約社員であれば、同様に10日の有給休暇を取得することができます。
残った有給休暇の繰り越しや取得時のルールに、正社員と契約社員による違いはありません。
非正規社員の種類
契約社員は、いわば非正規社員と言えますが、非正規社員には会社によって呼び方や定義が異なります。一般的にどういったものがあるか見てみましょう。
契約社員(準社員)
基本的に正社員に準ずることが多いので「準社員」という会社もあるようです。
あらかじめ雇用期間に定めがあり、「6か月」や「1年」がほとんどで、1回の契約期間は原則として、最長3年と決まっています。
基本的には、期間が満了すれば自動的に契約終了となりますが、双方の合意があれば更新できます。
専門分野の職種に多い形態で、製造業などで働く「期間従業員」も同じです。
待遇はさまざまで、幅広く会社の環境によって変わるため注意が必要です。給料が月給制の会社もあれば、契約によっては時給制のところもあります。
パート・アルバイト
正社員と比べて、勤務時間や日数が短い場合が多く、短時間や短期間で働く形態で、社員の補完や補助的な位置づけで臨時的に雇われる人をいいます。
パートとアルバイトの違いは明確にはありません。
ただし、フルタイムで働くところや、契約期間がない場合もあります。
他にも「臨時社員」「パート社員」など言い方は様々ですが、会社が勝手に区別するために使っているだけで意味合いは同じです。給料は時給制が一般的です。
嘱託社員
これと言って明確な定義はないようですが、一般的には会社が「定年退職した人をもう一度雇うための手段」として使うことが多いようです。
正社員だった人が、定年になっても、再雇用されて嘱託社員になるといった感じです。基本的には、内容は契約期間が定まっているので「契約社員」と意味合いは同じです。
派遣社員
「派遣元」である派遣会社との雇用契約のもと、「派遣先」となる会社で勤務します。
働く先の会社とは雇用関係にありません。
そのため、待遇面や給料などは「派遣元」で決められたものが適用され、勤務時間などの労働条件は「派遣先」に合わせられることが多いです。
基本的に、雇用期間が決まっており、期間が満了すると契約終了になります。
「紹介予定派遣」の場合、はじめは派遣会社の社員として働き、一定期間後に勤務先と派遣社員で合意があれば、勤務先の会社と直接的に雇用契約を結べます。
委託社員
会社に雇用されるのではなく、特定の仕事を任され(委託)、それに対し報酬が支払われる働き方です。「委託契約」というものを結びます。
報酬は生産量や売り上げに対して支払われ、完全出来高制や完全歩合などがあります。
一般的に、個人に委託されるので、個人事業主(自営業)となります。
会社との雇用関係はなく、労働者という概念がないため、労働基準法や労災・雇用保険などは適用されません。
無期転換ルールって?
労働基準法では、有期雇用契約の上限を3年(60歳以上など一定の場合に限り5年)と定めています。
これは、1回の雇用契約期間のことであり、更新を繰り返すことで通算の雇用契約期間が3年を超えること自体は違法ではありません。
そのうえで、通算雇用期間が5年を超えた場合に、本人の希望により、次の雇用契約を有期雇用契約ではなく「無期雇用契約」に転換できるルール(無期転換ルール)があります。
原則として、有期雇用契約のときの労働条件はそのままに、雇用契約の期間に定めのない「無期雇用契約」となります。
会社によって無期雇用契約転換者の労働条件は異なりますが、「無期雇用契約」によって完全に正社員と同じ立場とはならない例が多いようです。
それでも、雇用契約が更新されない不安を抱えた有期雇用契約よりも、無期雇用契約によって、安心して自身のキャリアプランを立てることができます。
転換を希望するときの手順や無期雇用転換後の労働条件については、事前に会社のルールを確認した方がいいです。
契約期間途中の退職・解雇は認められますか?
労働者から労働契約を終了する場合
正社員など契約期間が定められていないときは、2週間前までに退職の申出をすれば、法律上はいつでも辞めることができます。
しかし、契約社員のような有期雇用契約の場合は、期間満了前に退職することは契約違反ですから、「やむを得ない事情」が無い限り、契約期間の途中で退職することはできません。
やむを得ない事情とは、一般的に、心身の疾病、看護、介護などがあたります。
会社側から労働契約を終了する場合
有期雇用契約の期間中は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することはできません。
期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断され、ハードルは高いと言えます。
また、有期雇用契約の場合でも、基本的に解雇予告(解雇30日前までにその予告をすること)あるいは30日前までに予告しない場合は、解雇手当の支払い(解雇までの日数分の平均賃金)が必要です。
正社員を目指すなら…
契約社員からステップアップとして正社員を目指すのであれば、契約社員には見えない正社員の実態をしっかりと情報収集しておきましょう。
給与や福利厚生などの待遇がよくなる反面、仕事の責任が重くなって残業が増えたり、会社行事への参加を断れなかったりすることもあります。
どのような雇用形態であれ、ご自身の目指すライフスタイルを実現できることが一番でしょう。