毎月の給与から引かれる厚生年金何のため?
毎月の給与から何気なく引かれている厚生年金は一体何なのか、と気になっている人もいるでしょう。
まだ先のことだから、とあまり興味がない人もいるかもしれませんが、仕組みを理解しておくに越したことはありません。
年金とはどういう制度か、働く状況が変化したら将来の受給額にどう影響してくるのか解説していきます。
厚生年金と国民年金の違いとは?
年金制度のうち、国民年金は20歳以上60歳未満の国民全てが加入している年金で、65歳から受給することができます。
この保険料は決まっており、学生や会社員、アルバイトなど職業に関係なく同額を納めています。
支給額は加入期間により変わるため、40年間ずっと払えば満額、そうではない場合には少しずつ減額されます。
国民年金は基礎年金とも言われており、建物に例えるなら、年金の1階建部分に該当します。
国民年金は受け取り時期を遅らせる「繰り下げ」を選ぶと年額を増やすこともできます。
「繰り上げ」して早期に受け取ることもできますが、一度減った額を元に戻すことはできませんので注意が必要です。
厚生年金は、いわゆる2階建部分の年金で、国民年金にプラスして給付され、原則70歳まで加入することができます。
加入は全ての人が対象ではありませんが、一般的には会社員として働いている人が加入しています。
小規模な会社でも、従業員が5人以上になると加入しなくてはなりません。
保険料は、標準報酬月額となる4~6月に支払われる給与とボーナスを元に算出され、雇用主と加入者が折半して負担しています。
給与が多い人ほど負担額は大きくなります。
加入期間の長さと支払った保険料により給付額は異なりますが、国民年金に上乗せする形で受け取れます。
現役時代の給与と同程度受け取れるわけではありませんが、老後の生活をしていく上で欠かすことはできません。
パートやフリーランスは厚生年金に加入できる?
会社員として働いている時は、一般的に厚生年金へ加入していますが、状況が変わって勤務形態が変化した場合でも加入できるのでしょうか?
パートは非正規雇用で正社員とは処遇が異なりますし、会社から受けられる福利厚生にも違いがあります。
しかし、その会社の基準を満たせば厚生年金に加入することができます。
厚生年金加入の条件
- 勤務時間と労働日数が正社員の4分の3以上
-
短時間労働者の場合
- 1週の所定労働時間が20時間以上
- 賃金が月額88,000円以上
- 継続して1年以上使用される見込み
- 学生ではないこと
- 事業所の規模が常時501人以上
受け取る給与は保険料の分減ってしまいますし、扶養の範囲内で働く主婦の場合あまりメリットは感じられません。
ですが、一時的には給与が減ったことが気になっても、長く働いて保険料を払えばそれだけ老後の保障が手厚くなり、長い目で見ればメリットとなるわけです。
一方のフリーランスは、厚生年金に加入することはできません。
フリーランスは個人事業主ですので、会社員から独立した時点で国民年金に加入します。
厚生年金に加入していた人は、受給年齢になった時、支払った額から国民年金にプラスして受け取れますのでムダになるわけではありません。
またフリーランスの場合、年金の2階建部分に該当する国民年金基金があり、任意で加入することもできます。
サラリーマンの配偶者の年金はどういう仕組みなの?
独身の頃は会社で働いて厚生年金に加入していた人が、サラリーマンと結婚をした場合にはどうなるのでしょうか?
そのまま働き続けて厚生年金を払う場合、配偶者の扶養ではありませんので別々の年金として考えることができます。
一方、専業主婦やパートのうち第2号被保険者に扶養されている場合、20歳以上60歳未満の配偶者は第3号被保険者となります。
働いていなかったり給与が少ないなら、本来は国民年金を支払うことになります。
しかし、第3号被保険者の場合は、配偶者の加入している厚生年金が一括して払うため、自分で保険料を納付していなくても国民年金を払っているとみなされ優遇されます。
ただし、第2号被保険者が65歳になった場合、配偶者本人の年収が130万円を超えた場合、離婚した場合には、第3号被保険者ではなくなります。
国民年金に戻るか、会社員として厚生年金を払うことになります。
サラリーマンの配偶者が受け取れる年金は、第3号被保険者になる前に納付した厚生年金と、国民年金です。
扶養にあるうちは国民年金を納めているだけですので、将来の自分名義の年金自体は少なくなってしまいます。
扶養には入れませんが、年収130万円を超えるほど働いて厚生年金を納めたほうが、将来の年金額を増やすことができてメリットがある場合もあるのです。
まとめ
年金制度は複雑なように思われますが、基礎となる1階建部分の国民年金、その上に積み重なるようにして厚生年金などの2階建部分があります。
給与から差し引かれる部分(控除)が一体何なのか理解することで、将来の不安を減らすこともできるのです。