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テレワークとは?メリットと注意点、労務管理のポイントは?

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テレワークとは?メリットと注意点、労務管理のポイントは?

2019年4月から働き方改革関連法が順次施行され、企業は雇い方の変革を求められています。

様々な働き方改革の取り組みの中、新しい働き方の選択肢としてテレワークがあります。

2020年3月頃からは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、従業員の感染予防の目的でさらに注目を集めています。

そこで本記事では、需要が高まるテレワークについて、そのメリットと導入する際の注意点を見ていきましょう。

テレワークとは

テレワークの意味

テレワークとは、テレ(tele=離れたところ)とワーク(work=働く)を組み合わせた言葉で、会社から離れた場所で仕事をすることを指します。

これまでは会社に出社して勤務することが当たり前とされていましたが、ITツールを利用することでオフィスなど固定された勤務地から離れ、自宅やカフェなど自由な場所で働くことが可能になりました。

テレワークとは、より正確には「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」を意味します。

テレワークの種類

テレワークには大きく分けて3つの形態があります。
「在宅勤務」、「モバイルワーク」、「施設利用型勤務」の3種類です。

「在宅勤務」
在宅勤務とは、従業員が会社に出社することなく自宅で就業する働き方のことです。
主にパソコンなどのIT機器を使用した業務を行い、電話やメール・チャットツールなどで会社との連携を図ります。
部分在宅勤務という形態もあり、一日の勤務時間の一部を自宅で行う、一時的にオフィスに出勤する、など業務内容に応じて柔軟に取り入れることができます。

「モバイルワーク」
モバイルワークとは、交通機関で移動中の車内や顧客先などで仕事をする働き方です。
オフィスに縛られず就業場所も選ばないので、ノートパソコンやタブレット・スマホなどの携帯端末を使用していつでもどこでも業務を行えます。
営業職など外回りの多い職種では、場所の制約なく仕事ができるため生産性の向上が期待できます。

「施設利用型勤務」
施設利用型勤務とは、自社のテレワーク用オフィスや共同利用の施設で働く勤務形態です。
サテライトオフィスやスポットオフィスなど、自社で用意される専用型と、シェアオフィスやコワーキングスペースなど、共同施設を利用する共用型があります。
自宅環境が就業に不向きでも、これらの施設を利用することで通勤負担の軽減や業務の効率化が可能です。

テレワークはオフィスワークと比べて自由度の高い働き方であり、導入することで企業と従業員それぞれに様々なメリットがあります。

テレワークのメリット

①人材確保・離職予防

働く場所が限定されないテレワークは、従業員の住む場所を選ばない働き方でもあります。

会社のオフィスに限られた勤務では、通勤可能なエリアに居住することが前提となっています。
そのため、求職者の選択肢を狭めてしまったり、配偶者の転勤に伴って遠方へ転居する従業員は離職せざるを得ない状況になってしまいます。

また、育児や介護などで長時間家を離れることが難しい人、病気や障がいなどの理由でオフィスへの出社が困難な人など、能力・スキルがあり就労意欲もあるのに、勤務地が固定であるがゆえに就労が困難になっている人材もいます。

テレワークによる遠隔地の勤務を可能にすることで、地理的な制約を受けることなく優秀な人材を確保できるようになります。

また、テレワークで毎日の通勤が不要となるため、移動時間や交通費の削減にもなります。
満員電車や交通渋滞によるストレスから解放され、従業員のメンタルヘルスにも良い効果があるでしょう。

直接的に人と接する時間が少なくなるため、新型コロナをはじめとする感染症の予防にもなり、従業員の健康を守ることにもつながります。

テレワークによって働きやすい環境づくりができれば、将来有望な人材を新たに確保し、優秀な人材の離職を防止することも可能です。
求人・採用や人材育成にかかるコストも削減できます。

②非常時の事業継続性

テレワークで就業場所が散らばることでリスクを分散し、非常時でも事業の継続が可能です。

テレワークを導入していれば、自然災害などが発生した場合でも従業員は自宅などで業務を続けることができ、緊急時でも企業は事業を継続または素早く復旧して事業利益の損害を最小限に食い止めることが可能です。

地震や台風などで交通網が麻痺していたとしても、無理に通勤する必要がないため従業員の生命を守ります。

また、新型コロナしかり、新型インフルエンザなどのパンデミック(感染症の世界的大流行)が発生したときには、他人との接触が極力避けられることで感染拡大の防止にもなり、従業員が危険な感染症に罹患するリスクを抑えられます。

③社会的評価・イメージの向上

テレワークを導入することで、多様な働き方を受け入れる企業として社会的に評価されます。

社内の従業員に対しては、一人一人が働きやすい環境をつくることで、従業員のモチベーションの維持・向上を促します。

対外的には、ワーク・ライフ・バランスの実現を推進し従業員を大切にする企業として認知され、企業のブランドイメージの向上にもつながります。

以上のように、企業にとっても従業員にとってもメリットの多いテレワークですが、その導入にあたって注意すべき点が4つあります。

テレワーク導入時の注意点

導入目的と実施範囲の明確化

テレワークを導入する際にまず注意すべきことは、テレワークの導入目的と適用範囲を明確にすることです。

テレワークに限らず、何か新しいことを企業で取り入れようとする場合、目的がはっきりしないまま形だけ導入したのでは、結果の良し悪しも判断できず、曖昧な運用で効率化どころかかえって事態を悪化させてしまいます。

テレワークの導入はゴールではありません。

テレワークを導入することでどのような効果を得たいか、その目的を明らかにして社内で共有し、経営者と従業員が共通の理解をもってテレワークに取り組むことで、期待する効果を得られるようになります。

また、テレワーク実施の対象となる従業員と業務内容の選定も重要です。

テレワーク勤務をする従業員を選ぶ際には、職種やライフステージなどを踏まえたうえで、対象の基準を明確に設定して従業員の理解を得られるようにします。
テレワークを実施する業務は、資料作成やデータ入力などの個人作業だけでなく、情報共有ツールやコミュニケーションツールなどのITツールを整備することで、対象業務の範囲を広げることができます。

テレワークの導入目的に応じた実施範囲の選定と準備が、テレワークを成功に導くカギとなるのです。

法令遵守・規則の整備

テレワークの場合にも労働基準法など労働関連の法律は適用されるので、法令遵守の徹底にも注意が必要です。

就業規則には、テレワークに関して「テレワーク勤務を命じることに関する規程」、「テレワーク勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規程」、「通信費などの負担に関する規程」を定めておかなければなりません。

テレワークに関する規程を作成・変更した際は、所定の手続を経て労働基準監督署に届け出る必要があり、就業規則の作成義務がない会社でも、テレワーク勤務の上記規定に関して労使協定を結んだり労働条件通知書で従業員に通知しなければなりません。

テレワークにおける労働基準法の遵守に関連して、在宅勤務なら従業員の自宅を就業場所として明示し、「業績評価・人事管理等の取扱い」と「通信費・情報通信機器等の費用負担」および「社内教育の取扱い」について就業規則に規定し、労働時間を適切に把握する必要があります。

また、オフィスワークの従業員と同様にテレワークで働く従業員の健康を確保するため、雇入時や定期の健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックや安全衛生教育を行うことが求められます。

セキュリティ対策

テレワークでは、その特性からオフィス勤務より高いレベルのセキュリティ対策が必要となります。

端末や記録媒体の紛失・盗難、のぞき見・通信内容の盗聴、公共のWi-Fiによるウイルス感染など、テレワークには様々なセキュリティリスクが付きまといます。

このようなセキュリティリスクに対して、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)やセキュリティ対策ツールを導入したり、機器・データの持ち出しについて社内ルールを規定するなどの対策が求められます。

技術的な対策も必要ですが、セキュリティリスクに対する従業員の理解とセキュリティ意識が重要であり、従業員に対する情報セキュリティ教育を疎かにしては、企業のセキュリティレベルは向上しません。

従業員の情報セキュリティ意識を高めたうえで、企業のルールを徹底し、さらに技術的ツールを用いることで、高いレベルのセキュリティ対策が可能となります。

労務管理

テレワークも労務管理が必要であり、管理監督者の目の届かない就業状況を適正に管理することが求められます。

従業員の勤怠状況を管理するため、始業・終業の記録方法や報告のルールを定めておく必要があります。

Eメール・電話・勤怠管理システムなどのツールを活用し、オフィスで勤務する従業員と同様、適正に勤怠を管理して勤務状況を把握しなければなりません。
育児や介護などでテレワークを実施している従業員は、やむを得ない事情により業務を中断しなければならない可能性もあるため、労働時間の管理方法や情報共有のルールを徹底することが重要です。

業務の進捗状況の確認のためやサボリ対策として在席管理ツールを利用することも一つの方法です。
ただし、従業員のモチベーションを下げる「監視」にならないよう注意は必要です。

また、スケジュール管理ツールやワークフローを利用するなどして、業務の進捗を可視化したり、テレワーク中の従業員同士の情報共有も必要でしょう。

まとめ

テレワークとは、時間や場所に囚われない自由度の高さを魅力とする働き方です。

ワーク・ライフ・バランスが声高に叫ばれる今の時代、有用な選択肢のひとつと言えるでしょう。

導入のメリットを活かすためにも、経営者と従業員の理解と協力が大切です。

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執筆

株式会社ITZ築田 弥雪

2019年株式会社ITZ入社。2020年5月よりかえる勤怠Tipsに記事を執筆。
趣味は古本の積読。
勤怠管理を中心に、人事・労務に役立つ情報を発信できるよう勉強しています。