裁量労働制とは?
裁量労働制という働き方を耳にしますが、正しく理解している人は案外少ないのではないでしょうか?
多様な働き方が求められる今、再び注目を集めている働き方です。
従業員が自由に働き方を決められる反面、長時間労働が常態化するといった問題点も指摘されています。
裁量労働制の特徴
裁量労働制とは、仕事の仕方や時間配分について、従業員自身で決めることができる制度です。
出勤・退勤に決められた時間はなく、出勤・退勤も従業員が自由に決められるので、通常の従業員のように決まった時間に出社・退社する必要はなくなります。
実際の勤務時間に関わらず、労使協定で決められた1日の労働時間分は働いたものとみなして給与計算を行います。
たとえば1日の所定労働時間が8時間だった場合、実際の労働時間が5時間でも10時間でも8時間働いたとみなします。
そのため、従業員が自分で進捗をしっかり把握して仕事を配分しないと、結果的に長時間労働になってしまうリスクもあります。
裁量労働制の目的は、労働時間を従業員の裁量に委ねることで生産性の向上を図ることにあります。
裁量制は誰でも適応される制度ではない!
裁量労働制は限られた職種にのみ適用される制度です。
適用される業務は大きく2つに分けられます。
研究開発やシステム開発など、より専門性が高いとされる専門業務と、企業の経営や事業の運営に直接的に関わる企画業務です。
専門業務型の対象業務
- システム系
- システム開発・設計
- システムコンサルタント
- ゲーム用ソフトウェア開発
- 研究系
- 研究開発
- 大学における教授研究
- クリエイティブ系
- 取材・編集業務
- プロデューサー・ディレクター
- コピーライター
- デザイン系
- デザイン業務
- インテリアコーディネーター
- 金融系
- 証券アナリスト
- 金融商品の開発業務
- 公認会計士
- 弁護士
- 建築士
- 不動産鑑定士
- 弁理士
- 税理士
- 中小企業診断士
企画業務型の対象業務
- 経営企画部門
経営状態や経営環境について調査・分析し、経営計画を策定する - 人事・労務部門
現行の人事制度のあり方や問題点を調査・分析し、新たな人事制度を立案する
日々のルーティンワークをこなすだけのような業務は対象外になります。
裁量労働制のメリットや問題点は?
裁量労働制のメリットとして、まず、人件費の管理のしやすさが挙げられます。
労使協定であらかじめ決めた時間を1日の労働時間とみなして給与計算をするため、人件費を管理しやすくなるのです。
また、仕事の自由度が高まり、勤務時間も従業員が自由に決められるので、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
成果を出せるのであれば長時間働く必要もないので、効率よく仕事をして労働時間を短縮することもできます。
問題点は、勤怠管理が難しくなることです。
従業員が自由な時間で働くことになるので、勤怠の管理が煩雑になります。
研究開発など、自己学習の時間と勤務の時間が曖昧になりがちな業務は、労働時間とそれ以外の時間を厳密に分けて管理する必要があります。
長時間労働が常態化することのないよう、企業側の適切な配慮も必要です。
まとめ
裁量労働制を成功させるカギは、従業員一人一人に適切な仕事量を割り振ることです。
うまくサイクルが回れば従業員一人一人の生産性を高め、会社の利益にもつながります。
また、成果を正しく評価できる仕組みを作ることも大切です。