あなたの会社の勤怠管理システムに満足していますか?〜アンケートから見る勤怠管理の実態〜
出勤・退勤や休憩時間、残業、有給休暇など労働時間を適切に管理することは、適正な給与の支払いのためにも重要であり、従業員のモチベーションへと繋がります。
どの企業でも日々の業務として行われている勤怠管理ですが、従業員はどのように感じているのでしょうか。
オフィスなど現場で打刻する従業員は?あるいは、管理業務にあたる人事・総務などの管理者は?
会社に勤めている方を対象に、勤怠管理システムに対する満足度のアンケートを実施しました。
(有効回答数1016人)
目次
勤怠管理システムに満足していますか?
『勤めている会社の「勤怠管理システム」に満足していますか?』の質問に対し、「満足している」の回答は673人、「満足していない」は343人という結果になりました。
アンケートの回答内容を見ていくと、回答者のうち約30%の人は、手書きやタイムカードなどのアナログなシステムの勤怠管理を利用している状況がうかがえます。
中には、「勤怠管理システムを知らない」というコメントもありました。
そもそも勤怠管理システムとは、どのようなものでしょうか。
勤怠管理システムとは?
これまでの勤怠管理は、出勤時刻や退勤時刻といった勤務状況の記録・管理・集計を、人が手作業で行なわなければなりませんでした。
手書きの勤務表や紙のタイムカード、エクセルでの手入力など、人の力に大きく頼る「アナログな勤怠管理」では、時間・労力・コスト的にも限界があります。
勤怠管理システムとは、IT技術の活用により、システムが人間に代わって短時間で大量のデータ処理を行い、人的ミスを減らして記録の正確性を高め、業務の効率化を図るツールです。
最近では、働き方改革や新型コロナの影響もあり、インターネット経由でいつでもどこでも使える クラウド型の勤怠管理システム が注目されています。
アナログな勤怠管理と勤怠管理システムとで満足度に差はあるのか?
上のグラフからもわかる通り、アナログな勤怠管理と勤怠管理システムとでは、満足度に大きな違いが見られます。
では、どのような理由で「満足している」あるいは「満足していない」のでしょうか?
寄せられたコメントを紹介しながら、満足度に差が表れている原因を探ります。
満足している・満足していない理由は?
アナログな勤怠管理の場合
満足していない理由
正確性に欠ける
- 自己申告で基準があいまいだから。(東京都/営業・販売/女性)
- たまにエラーが起きて正しい時間が記入されず、社員に報告しないといけないから。(愛知県/主婦/女性)
- タイムレコーダーの時間が狂っている。(神奈川県/営業・販売/男性)
手書きの勤務表は客観性がなく、タイムカードは機器のトラブルなどで正確性に乏しく、適正な勤怠管理が行われているとは言い難いのが実情です。
残業や有給休暇、休日出勤などが正しく記録され管理されているのか、不安を訴える声もありました。
作業の手間
- 手書きは字で書く事が多すぎ。(北海道/コンピュータ関連以外の技術職/男性)
- 管理側なのですが、勤怠がタイムカードのみなので、押し忘れが多く計算が面倒。(埼玉県/主婦/女性)
- エクセルで計算するので邪魔くさい。(兵庫県/コンピュータ関連技術職/男性)
手書きやタイムカードの勤怠記録は、集計のためにエクセルなどのソフトへ手入力する作業が必ず発生します。
記録から内容の確認、集計まで人の手を介するためミスも起こりやすく、確認や修正に多大な労力が必要となるため、担当者の苦労は計り知れません。
不正のリスク
- 手書きは出勤退勤時間を自由に記入できるので正しい勤怠管理ができていないから。(神奈川県/コンピュータ関連技術職/男性)
- タイムカード式なので、他人が代わりに押すなどの不正が出来るから。(京都府/総務・人事・事務/男性)
- 手書きで勤務時間が不正に書き換えられるから。(千葉県/学生・フリーター/男性)
アナログな勤怠管理では、虚偽の申告や代理打刻、改ざんなど不正のリスクがあります。
不正行為は、適正な管理ができないばかりでなく、従業員と管理者との信頼関係に支障をきたし、会社そのものへの不満につながってしまいます。
残業・有給休暇の管理が不十分
- 残業が曖昧。(滋賀県/金融関係/男性)
- すべての作業は店長記入で、残業は反映されない。(愛知県/営業・販売/女性)
- 個々の有給休暇発生日の記録が出来なくて、有給休暇の残日数の把握がしづらい。(新潟県/営業・販売/男性)
残業時間の正確な管理がなければ手当の適正な支払いができず、未払いは従業員の満足度に大きく影響します。
また、取得を義務化された有給休暇の管理は煩雑で、基準日・付与日・取得日数・残日数を従業員一人一人について把握しなければならず、アナログな勤怠管理でこれらを正しく管理することは複雑で困難です。
新しい働き方に対応できない
- テレワークに対応していない。(長野県/公務員/男性)
- 在宅勤務に無理がある。(大阪府/営業・販売/男性)
出社しないと打刻や勤怠の管理ができないアナログな手法では、昨今の働き方改革やコロナ禍で求められる、リモートワーク(テレワーク)などの柔軟な働き方に適切に対応することができません。
アナログであることが不満
- エクセルに打ち直して管理しているから。(石川県/その他の職業/男性)
- タイムカードが管理しにくい。(北海道/会社経営・役員/男性)
- 何のシステム化もされていないから。(神奈川県/総務・人事・事務/女性)
システム化されていないこと自体に対する不満の声も寄せられ、中には「アナログすぎて遅れすぎ」という厳しいコメントもありました。
満足している理由
曖昧さの許容
- タイムカードがなく適当でほどよい。(愛知県/営業・販売/男性)
- やや緩いといえば緩いから。(東京都/学生・フリーター/男性)
- タイムカード方式ではないので、残業が少ないときは先輩が気を使って少し増やしてくれたりするので満足はしています。(青森県/営業・販売/女性)
従業員は満足しているとはいえ、客観的で正確な勤怠管理を行うという企業の義務の観点から見ると、看過できない問題です。
問題を感じない
- タイムカードで出退勤管理できてるから。(大阪府/総務・人事・事務/男性)
- 自己申告制で、特に不具合を感じていないので。(福岡県/総務・人事・事務/女性)
- 特にシステム的なものは必要がない職場です。(千葉県/総務・人事・事務/男性)
「ずっとこのやり方なので、今さら変えたくない」という意見もありました。
小規模であれば問題ないことでも、先を見据えた場合、人員の増加など企業規模の拡大とともに、上記の「満足していない理由」にあるような課題が発生する可能性はあります。
勤怠管理システムの場合
満足していない理由
システム次第で手間
- 確認項目が多すぎて、かえって使いづらい。(神奈川県/総務・人事・事務/男性)
- 出勤、退勤時にシステムにログインし、打刻するのが面倒。(茨城県/研究・開発/男性)
- 使いにくい、反応が遅い、利用内容によってはかなり不便。(北海道/公務員/男性)
システムによっては、登録や設定の仕方が複雑であったり打刻方法が面倒だったりと、効率化するはずが、かえって手間を増やしてしまう場合もあります。
「もっとデータの活用ができるシステムがいい」というコメントのように、利用中のシステムよりも便利で使いやすい、より良いものを求める意見も見られました。
満足している理由
操作が簡単
- カードでピッとするだけの出退勤で簡単。(千葉県/その他の職業/女性)
- オンラインなので面倒な記載などがほとんどない。(大阪府/営業・販売/男性)
- 簡単な入力システムだから便利。(岐阜県/総務・人事・事務/女性)
打刻の方法が簡単であるほど、確認・修正の作業がシンプルになるほど、従業員も管理者もストレスなく日々の打刻や管理業務を行えます。
データの正確性
- 打刻の精度が高くて安心だから。(東京都/営業・販売/男性)
- 出勤時、退勤時に専用の端末のボタンをオンする。不正はできない。(群馬県/総務・人事・事務/男性)
- ICカードを使い、正確に記録され、給与に反映されている。(愛知県/医師/男性)
勤怠管理システムなら、時刻の書き間違えや機器の時間がズレることもありません。
たいていのシステムには、不正打刻を防止してデータの改ざんを防ぐ機能もあるため、正確な勤務時間を記録することができます。
正しく勤怠を管理することで適正に給与が支払われれば、従業員の信頼と満足感にもつながります。
残業・有給休暇もしっかり管理
- 1分単位で残業カウントされるから。(神奈川県/学生・フリーター/女性)
- 自動で残業等わかるので便利。(静岡県/営業・販売/男性)
- 有給システムなどしっかりしているから。(神奈川県/総務・人事・事務/男性)
残業時間や有給休暇の正確な管理によって、残業代の未払いを防ぎ、有給休暇もきちんと取得できるようになります。
労働の対価を正しく受け取り、適切な休暇を得られるようにすることは、従業員のモチベーションを維持するうえで欠かせません。
柔軟性が高い
- WEBでいつでも入力できるから。(岐阜県/コンピュータ関連技術職/男性)
- 何処でも操作可能だから。(東京都/コンサルタント/男性)
- ウェブ上のシステムで勤怠管理ができるので、インターネットに繋がる環境であれば、どこでも管理ができて便利だと思います。(茨城県/コンピュータ関連以外の技術職/男性)
勤怠管理システムは、インターネットにつながっていれば時間や場所に関係なく業務を行えるため、在宅勤務などのリモートワークをはじめ、多様な働き方に対応できる柔軟性があります。
管理しやすい
- 必要事項が網羅されている。(埼玉県/企画・マーケティング/男性)
- システム化されていてデータも把握できる。(東京都/金融関係/男性)
- 自動計算してくれるし、サマリも見やすい。(宮城県/総務・人事・事務/女性)
- しっかりシステム化されており、定期的に改良もされているので使い勝手が良い。(埼玉県/コンピュータ関連技術職/男性)
システムによる自動化で管理者の負担を軽減し、誰でもわかりやすく見える化された勤怠データは、余分な作業を省きます。
業務効率が上がることで時間や人手に余力ができ、適度なゆとりを持てることで満足感を得られるようにもなります。
まとめ:満足度を向上させるクラウド勤怠管理システム
手書きの勤務表やタイムカードといったアナログな勤怠管理では、人の手に頼る部分が大きく、作業者に負担を強いているのが実情です。
そうして労力や時間が多く費やされるにもかかわらず、正しい勤怠管理がなされているとは断言できません。
不正や賃金未払いなどのリスクにさらされる従業員は、待遇への不安や企業への不信から、何らかの不満を抱えています。
クラウド勤怠管理システムへ移行することで、正しい勤怠がリアルタイムに自動集計され、手作業では煩雑だった残業・有給休暇・休日出勤などもスムーズに管理でき、多岐にわたる働き方のニーズにも柔軟に対応することが可能となります。
作業の簡略化と業務の効率化により作業者の負担が軽減され、適正な管理と公正な処遇によって企業への信頼や将来への期待に結びつき、総じて従業員の満足度を向上させます。
企業で働く限り、従業員を雇う限り、日々の労働に勤怠管理は不可欠です。
働き方改革によって労働時間の適切な管理がより厳密に求められる今こそ、勤怠管理をシステム化する好機ではないでしょうか。